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大きなクリの木の下で
第6章 救急病院にて

「お聞きになったでしょう?
面会時間は終わりなの。また明日、お昼の2時から夕方の7時までの会瀬を楽しんでくださいね」
そう言われて、静香は年配のナースに肩を押されるようにして病室から追い出された。
「ちょっと待ってよ!
さようならの挨拶ぐらいさせてくれても…」
食い下がる静香を遮断するように病室のドアがピシャリと閉められた。
「何よ!クソばばあ!!」
病室内に聞こえんばかりの大声で罵声を浴びせかけると、静香は鼻息も荒く病院を後にした。
「ずいぶんと威勢のいいお嬢さんね…
あなたは、ああいう女性が好みなのかしら?」
「彼女にしてみれば、もう少しここに居たかったんだと思いますよ。普段は冷静沈着でものわかりのいい女性なんですが…」
ものわかりのいい女性ねえ…
私には悪魔の形相をした堕天使にしか見えなかったわ
イヤミを言いながら、年配のナースはベッド脇に腰かけて食事の介助をしてくれた。

