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大きなクリの木の下で
第6章 救急病院にて

「あっ!部長!
こんなぐうたら社員のためにご足労いただき申し訳ないです」

「まあまあ、固い挨拶は抜きだ
それよりも怪我の具合はどうかね?」

「お陰さまで…骨折は丁寧な手術をしていただいて動かなければ何とか耐えれる痛みです。
ただ、打ち身の方が厄介で…体を揺り動かすだけでも激痛が走って…」

「まあ、そりゃそうだろ…警察の方に聞いたよ、かなりの大立ち回りだったんだって?」

「それは大袈裟です、なす術もなく一方的に殴られていたんですから」

「ごめんなさい…私が美代子を一緒に探して欲しいとお願いしたばかりに…」

部長が『お前たち、デキているのか?』と目のやり場に困るほど、静香は竹本の体から手を離そうともしない。

「いや、美代子さんの車が、例の廃工場の空地に停車されているのを見つけたのは、本当に偶然なんです。
あれを奇跡と呼ぶんでしょうね」

でも、その後の行動が不味かった。
刑事に説教されたように、まず警察への通報が第一にすべきだった。

「なりふり構わず飛び込んだって?
今じゃウチの会社では君の武勇伝で持ちきりだよ
何にせよ、今は仕事の事を考えずに治療に専念したまえ」

それじゃ、私はお邪魔なようだから、お先に失礼するよ

では、ごゆっくり~と意味深な笑みを浮かべて部長は退室しかけた。

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