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大きなクリの木の下で
第6章 救急病院にて

「カテーテルを抜いてください!
オナニーしたいんです!お願いです、手で…手でシコシコしてください!」

我慢の限界だった。
あの尿道を突き抜ける射精の快感が欲しかった。
このナースだって満更でもなさそうだし、
入院患者の体験談でナースに手コキしてもらったりフェラチオで抜いてもらったというのを男性雑誌で読んだことがある。
今なら、それを身をもって体験することが出来るのではないかと期待した。

「それはダメ!
ドクターの許可なしに処置することは出来ないの
ICUにいる間は我慢してね」

はい、もうおしまいとスッと彼女の手がペニスから逃げていった。

乳首まで拝ませておいてそれはないだろうと竹本は憤慨した。
今まさに絶好調のビンビンなコイツを鎮めるには射精以外に考えられなかった。

「ここ(ICU)を出たらカテーテルは抜いてもらえると思うわ
だから、もう少しいい子でおとなしくしていてね」

「じゃあ…せめて…」

せめて乳房を丸出しにして乳首をしゃぶらせて欲しいと願い出ようとする竹本の言葉は別の患者が急変したアラーム音にかき消され、ナースは「今すぐ先生を呼んで!」とICUのナース詰め所に向かって叫んで、慌ただしく竹本の部屋から駆け出してしまった。

開けっ放しにして出ていったドアから、急変患者の処置に手際よく処置を施すナースたちを見て『ここは生と死が隣り合わせになっているところなんだ』と、大ケガをしながらも生きながらえた自分に安堵した。

骨折と打ち身だけの竹本は、ただ、寝かされているだけで頻繁にナースが来てくれるわけもなく、ひたすら『安静』と言う名の拷問に近い時間をICUで過ごした。

「明日から一般病棟に移りますからね」と定期検診に来たドクターにそう言われて、竹本はホッとした。
ICUに居る間は面会謝絶で、暇で仕方なかったが、一般病棟に移れば、きっと静香が見舞いに来てくれるに違いないと今日一日が過ぎるのをひたすら心待ちにした。
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