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大きなクリの木の下で
第6章 救急病院にて

「ねえ先生…
彼女…大場美代子さんもこちらの病院に入院しているんですか?」
彼女の安否が気がかりで、警察の二人が引き上げた後にドクターに尋ねてみた。
「救急でここに運ばれてきたのは確かです…
ただ、薬物反応が出たことで、ウチでは診れないんですよ
なので、大場さんにはソレ専門のところに廻させていただきました」
「急性中毒とか?」
「まあ…詳しいことは何とも言えませんが
かなりの量をわずかな日数で摂取させられたことは間違いないですね」
これ以上は守秘義務がありますので…
そう言ってドクターは口をつぐんだ。
「それよりも、竹本さんはご自身の回復を優先的に考えていただかないと」
美代子の事を考えて暗い顔をした竹本の気を紛らわすかのように、ナースが飛びっきりの笑顔で微笑んでくれた。
「全治までどのくらいかかりますか?」
「そうだねえ…この後、小さな修復手術を何度かさせていただきますし、それからリハビリに移っていただいて…
まあ、社会復帰は半年後ぐらいですかね」
サラリと言い放って「それじゃあ、後はお願いね」とナースに任せてドクターは「お大事に」と一言だけ声をかけICUから出ていった。

