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大きなクリの木の下で
第6章 救急病院にて

「それにしてもあまり無茶はしないでもらいたいもんですなあ」
二人の刑事のうち年配の男が「餅は餅屋に任せろ」とばかりに、まるで竹本を非難するような口振りで言った。
「まず、事件性の場面を目にしたら110番通報することです。
まあ、多少なりとも腕に覚えがあるから飛び込んだのでしょうが…
安静が必要だと理解してはいるのですが、今日、お話を伺いに来たのは、監禁されていた大場美代子さんとあなたの関係です」
さて、いよいよここから本題なんですと言わんばかりに
聴取を若手に任せて、年輩の刑事は一歩後ろに下がって質問に答える竹本の表情、とりわけ竹本の目の動きをじっと観察し始めた。
竹本を居抜くような鋭い視線は、さながら人間ウソ発見器のように冷徹そのものだった。
「あなたと監禁されていた女性との間柄についてお聞きしたいのですが」
「大場美代子さんは私が勤めている出版社の同僚の友人です
その同僚から彼女を紹介されて…」
「お付き合いをされていた訳ですね?」
竹本の言葉を遮って、早い話が恋人関係があるんですね?と若い刑事はツボを押さえたようにマウントを取って詰問口調に変わった。

