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わたしのお散歩日記
第12章 求人広告
 求人の貼り紙が掲示板でひらひらと風に揺れています。募集しているのは「パートタイム事務員」。時給は〇〇〇円だそうです。この前、お向かいの△△さんとパートのおはなしをしたところでした。まあ、よくある”井戸端会議”ですね。

 『わたし、パートにでも出ようかしら』
 『あら、どうしてですか?』

 △△さんのお家はお嬢さんがこの春独立してお家を出たところだし、お金の必要があるとは思えません。

 『どうしてって、特に理由もないのだけど…。なんていうか、ひまでひまでしょうがないのよ』

 それはそうかもしれません。”井戸端会議”が始まるとなかなか解放してもらえませんから。

 『この間までお嬢さまがいらっしゃいましたものね』
 『そうなのよ。お食事もお洗濯もわたしと主人の二人分だけでよくなっちゃったし。ずっとお家にいるだけでしょ? なんだかモヤモヤしちゃうのよね』

 ”モヤモヤ”の意味がどういう意味なのかわかりませんけど、わかるような気もします。

 『わたしはよくお散歩してますけどね』

 ”モヤモヤ”してしまうからお散歩しているわけでもないのですけど、ついそんなふうに応えてしまいました。

 『あら、そうなの? お散歩って、ほんとにお散歩だけ?』

 また、わかるようなわからないようなことをおっしゃっていますけど、たぶん、そういう意味ではお散歩だけしている、ということになるでしょう。

 『ええ、お散歩だけ…ですけど』

 ”なんだ、つまらない…”みたいな感じの△△さん。”井戸端会議”もこれでお開きかしら…。そう思って気が緩んでしまったわたし。余計なことを言ってしまいました。

 『それでしたらパートに出たりしないで、お話し相手を探されたらいいんじゃありません?』

 △△さんが目を丸くしています。

 『わたしが求人広告を出すっていうこと?』
 『え…、あ…、まあ、そう…ですね』

 思案顔になってしまった△△さん。行きがかり上、その場から去りにくくなってしまいました。でも、ほどなく結論が出たようです。

 『まあ、それはやめておくわ』

 一応、理由をお伺いしたほうがいいのでしょう。

 『あら、どうしてですか?』
 『オンナって、やっぱり、求めるより求められる側だって思うのよね』

 意外にも…なんて言ったら失礼でしょうけど、思わぬ深みのあるお答えでした。
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