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わたしのお散歩日記
第15章 マダムキラー
 その頃のわたしは、その名前を真に受けて、『マダム』だから結婚していない人は使ってはいけないって思っていました。そして、結婚もしていないし、ましてや男性経験もないのに、そんな商品に興味を惹かれてしまう自分…もっと正直にいえば、自分の指のかわりにこんなものをアソコに入れたいと思っている自分がものすごく恥ずかしかったのを覚えています。

 そんなことを友だちに話したら、わたしより若干早熟だった友だちには呆れられてしまいましたけど。

 『”マダム”だけが使っていいとかそんな意味じゃないよ。”マダム”もよろこぶくらい気持ちいいっていう意味だよ』
 『そ、そうなんだ…』
 『それにしてもさ…欲しくない?』
 『うん…』
 『ねえ、一緒に注文しない? わたし赤、あなた紫。現金書留でお金を送って、配達は郵便局留めにしてもらえば、家まで配達されないんでしょ?』
 『む、無理だよ、そんなこと…。誰が注文したり郵便局に受け取りに行くのよ…』
 『ジャンケンで負けたほう』

 そんな話に乗るほどわたしに勇気があるはずもなく…。まったく、たわいもない話をしていたものでした。結局、友だちもわたしも、オモチャに行き着くこともなく、のちに男の人を知ることにはなるのですが、からだのなかに”異物”が入ってくる感覚は「他人に知られていない自分だけの世界を持った」みたいな思いを抱かせるに十分で、ふと、夏休みに雰囲気が変わったあの子のことが思い出されもしたのでした。

 …それにしても、赤と紫という二つの色から、こんなことを思い出してしまうなんて。そろそろ『マダム』になったなりの「他人に知られていない自分だけの世界」があってもいいですよね…。友だちと再会したらこんな話をするのかもしれません。

 『いきなり生身の男とそういうことができない”マダム”のためのおもちゃっていう意味だよ』
 『そ、そうなんだ…』
 『それにしてもさ…欲しくない?』
 『うん…』
 『ねえ、一緒に注文しない? わたし赤、あなた紫。現金書留でお金を送って、配達は郵便局留めにしてもらえば、家まで配達されないんでしょ?』
 『そうね。注文しちゃおうか…』
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