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わたしのお散歩日記
第10章 写生会
『ごめん…』
『別にあなたがわたしに謝るような話じゃないけど』
『それもそうだね…』
わたしも画用紙に鉛筆を走らせる。直線で形作られているはずの校舎が勝手に歪んでしまう。自分でも下手だと思う。デッサン力ないなぁ…。
『わたしに言わせればさ…』
『うん?』
『”写生”を”射精”にかけたぐらいであんなにはしゃげるんだから、かわいいもんだよねぇ』
意味がわからなかったから黙っている。意味も分からなかったし”シャセイ”の話はもういいし…。
『あ、ごめん。今度はわたしがあなたを戸惑わせちゃってるね』
『え?…あ、ごめん』
『またそうやって、訳も分からず謝るんだから』
『ごめん…』
『ま、いいけど。今日はさ…、シャセイはシャセイでもコーナイシャセイだよね』
『そうだね。校内で写生してるね』
相槌を打って続きを待っていたけどA子ちゃんは写生に集中し始めてしまった。わたし、何か変なこと言ったのかな…。
文化祭ではA子ちゃんとわたしの同じアングルの校舎の絵が2枚並んで貼られた。細密画と抽象画のようだった…。A子ちゃんの絵は賞をもらった。”実物をじっくり観察することで、形・質感・陰影・色の微妙な差異もしっかり捉えています”と評価されていた。
それにしてもA子ちゃん、同じ学年だとは思えないくらい落ち着いていたな。わたしが感じていた疎外感を感じ取るだけじゃなく、さりげなく手まで差し伸べてくれて。やっぱり早熟だったんだと思う。早熟だったけど、せっかくの言葉遊びを披露するには、わたしがあまりにも血の巡りが悪い子だったことまでは気が回らなかったみたい。わたしが『口内射精』という言葉を知ったのはそれからずっと後のことだったから…。
今はどこにいるのかわからないけど、お互いいい歳になってしまったものね。一緒にお散歩でもしたら、鋭い観察力でもっといろいろ気付かせてもらえそうな気がする。わたしも、今ならちょっと過激なブラックジョークも受け止めてあげられると思うよ。それにしても、ちょっときいてみたいの。どうしてもうそんなことを知っていたの?って。
『別にあなたがわたしに謝るような話じゃないけど』
『それもそうだね…』
わたしも画用紙に鉛筆を走らせる。直線で形作られているはずの校舎が勝手に歪んでしまう。自分でも下手だと思う。デッサン力ないなぁ…。
『わたしに言わせればさ…』
『うん?』
『”写生”を”射精”にかけたぐらいであんなにはしゃげるんだから、かわいいもんだよねぇ』
意味がわからなかったから黙っている。意味も分からなかったし”シャセイ”の話はもういいし…。
『あ、ごめん。今度はわたしがあなたを戸惑わせちゃってるね』
『え?…あ、ごめん』
『またそうやって、訳も分からず謝るんだから』
『ごめん…』
『ま、いいけど。今日はさ…、シャセイはシャセイでもコーナイシャセイだよね』
『そうだね。校内で写生してるね』
相槌を打って続きを待っていたけどA子ちゃんは写生に集中し始めてしまった。わたし、何か変なこと言ったのかな…。
文化祭ではA子ちゃんとわたしの同じアングルの校舎の絵が2枚並んで貼られた。細密画と抽象画のようだった…。A子ちゃんの絵は賞をもらった。”実物をじっくり観察することで、形・質感・陰影・色の微妙な差異もしっかり捉えています”と評価されていた。
それにしてもA子ちゃん、同じ学年だとは思えないくらい落ち着いていたな。わたしが感じていた疎外感を感じ取るだけじゃなく、さりげなく手まで差し伸べてくれて。やっぱり早熟だったんだと思う。早熟だったけど、せっかくの言葉遊びを披露するには、わたしがあまりにも血の巡りが悪い子だったことまでは気が回らなかったみたい。わたしが『口内射精』という言葉を知ったのはそれからずっと後のことだったから…。
今はどこにいるのかわからないけど、お互いいい歳になってしまったものね。一緒にお散歩でもしたら、鋭い観察力でもっといろいろ気付かせてもらえそうな気がする。わたしも、今ならちょっと過激なブラックジョークも受け止めてあげられると思うよ。それにしても、ちょっときいてみたいの。どうしてもうそんなことを知っていたの?って。

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