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誰にも言えない、紗也香先生
第5章 川沿いのキャンディゲーム

繫華街のネオンが、ガラス越しにピンクや青の揺らぎを映す。
その中を、私はぎこちなく歩いていた。
中は裸。黒のガーターにピンヒール、青いチョーカーに黒革の手錠。
外は短めのベージュのコート――ボタンはすべて閉めてあるけれど、動くたびに何かがのぞきそうで、心臓が痛いほど跳ねていた。
「…だ、大丈夫、きっと普通に見えてる…普通の女……たぶん…」
小声で自分に言い聞かせながら、コンビニのドアをくぐる。
店内には、私と、インド系の男性店員、二人きり。
静まり返る蛍光灯の下で、私は口を使って、棚の下段から100円の無糖キャンディをそっとくわえた。
あとはレジに持っていくだけ……なんだけど、手は使えないし、見た目は不自然じゃないか、って不安でいっぱいになる。
レジの前に立つと、店員が業務的に「袋はご利用になりますか?」と尋ねた。
「……い、いりませんっ」
コートの襟で口元を隠しつつ、私は首から垂れた銀のチェーンの先にあるプリペイドカードを、口で器用に読み取り機にかざした。
ピッ。
機械の音に合わせて、店員が一瞬こちらを見た気がして、私は顔が真っ赤になった。
でも――それ以上、何も言われなかった。よかった。たぶん。
外に出ると、黒いハイヤーが待っていた。
ドアを開けると、後部座席の奥でリザが脚を組んで、微笑んでいた。
「ふふ、えらいわ。ちゃんと買えたのね、私の可愛いサヤ」
その声を聞いた瞬間、胸がふっと緩む。
私は何も言わず、彼女の懐にそっと頭を預けた。
リザの香り。ちょっとスパイシーで、でも甘くて、懐かしい。
それだけで、さっきまでのドキドキが、全部ご褒美に変わってしまう。
だけど…
「……ほんと、バカ。こんな格好で外に出させて……!」
小さく唇を尖らせると、リザは優しく笑いながら私の頬を撫でた。
「でも、サヤ。あなた、ちょっと楽しそうだったわよ?」
その言葉に、私は返事もできず、頬がますます熱くなった。
車がゆっくりと夜の街を走り出す。
窓の外の灯りが、私の秘密をそっと照らしながら――。
その中を、私はぎこちなく歩いていた。
中は裸。黒のガーターにピンヒール、青いチョーカーに黒革の手錠。
外は短めのベージュのコート――ボタンはすべて閉めてあるけれど、動くたびに何かがのぞきそうで、心臓が痛いほど跳ねていた。
「…だ、大丈夫、きっと普通に見えてる…普通の女……たぶん…」
小声で自分に言い聞かせながら、コンビニのドアをくぐる。
店内には、私と、インド系の男性店員、二人きり。
静まり返る蛍光灯の下で、私は口を使って、棚の下段から100円の無糖キャンディをそっとくわえた。
あとはレジに持っていくだけ……なんだけど、手は使えないし、見た目は不自然じゃないか、って不安でいっぱいになる。
レジの前に立つと、店員が業務的に「袋はご利用になりますか?」と尋ねた。
「……い、いりませんっ」
コートの襟で口元を隠しつつ、私は首から垂れた銀のチェーンの先にあるプリペイドカードを、口で器用に読み取り機にかざした。
ピッ。
機械の音に合わせて、店員が一瞬こちらを見た気がして、私は顔が真っ赤になった。
でも――それ以上、何も言われなかった。よかった。たぶん。
外に出ると、黒いハイヤーが待っていた。
ドアを開けると、後部座席の奥でリザが脚を組んで、微笑んでいた。
「ふふ、えらいわ。ちゃんと買えたのね、私の可愛いサヤ」
その声を聞いた瞬間、胸がふっと緩む。
私は何も言わず、彼女の懐にそっと頭を預けた。
リザの香り。ちょっとスパイシーで、でも甘くて、懐かしい。
それだけで、さっきまでのドキドキが、全部ご褒美に変わってしまう。
だけど…
「……ほんと、バカ。こんな格好で外に出させて……!」
小さく唇を尖らせると、リザは優しく笑いながら私の頬を撫でた。
「でも、サヤ。あなた、ちょっと楽しそうだったわよ?」
その言葉に、私は返事もできず、頬がますます熱くなった。
車がゆっくりと夜の街を走り出す。
窓の外の灯りが、私の秘密をそっと照らしながら――。

