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誰にも言えない、紗也香先生
第5章 川沿いのキャンディゲーム
リザの指が、私の手のひらに、
ひとつの黒い小箱をそっと置いた。

「あなたへの、ご褒美よ。夢の続きにふさわしいものを――」

艶やかなリボンをほどいた瞬間、
その中にあったのは、私がまだ触れたことのない形。
でも、不思議と、何に使うのかはすぐにわかった。

「ここで、なの…?」
頬に熱が差し、声が自然に震えていた。

でもリザは微笑むだけで、
私の背をそっと抱きしめ、耳元でささやいた。

「誰にも見えない世界でしか、
ほんとうの自分は咲けないものよ――サヤ。」

小さなスイッチの先にあるもの。
それは、理性の境目を越えて、
夢の奥深くに咲く、一輪の花を呼び起こす合図だった。
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