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わたしの昼下がり
第4章 募る想い
 『一目見て奥さんとは『オトナの付き合い』ができると思ったんですよ。思ったとおりでした』

 △井はそう言っていました。『オトナの付き合いができる』女って、要は『都合のいい女』ってことですよね。男にとっての都合のいい言い訳に過ぎないとわかっていても、なぜか褒められたかのような気分にさせられてしまいます。巧妙に自尊心をくすぐられてしまっているだけとはわかっているのですけど。それにわたしにとっても△井は『都合のいい男』なのだから…。

 2週間といえば14日。なんで14日も空けるのか…?こういう女が14人いてわたしが14番目だからなのか…? 一日に一人ならそうだけど、まさか14人なんて…? さすがに休日もなしということは…? でも△井なら一日に二人は…? いえ、三人…? それともほかの女との間隔はもっと短いけれどわたしは新参だからまだそれほどには…? そんなわたしが間隔を短くしてもらうにはどうしたらいい…?。

 △井にとってもっと都合のいい女になればいい…? △井が持ち込む商品をみんな買ったらいい…? もっと抱き心地のよい女になればいい…? 求めることをなんでも叶えればいい…? からだだけでなくお金も与えればいい…?

 (わたしったら、おかしくなっちゃったのかしら…)

 こんなことを考えてしまうわたしに自分でも呆れてしまいました。奥さまたちのお喋りはまだ続いています。お喋りが終わるきっかけになるはずの回収車は今日はなかなか現れません。早く部屋に戻って疼き続けているからだを慰めたい…。井戸端会議が早く終わる事ばかり考えていました。

 団地の棟の向こうから回収車が姿を現しました。

 「あっ! 来ました! 回収車!」

 思わず声を上げてしまったわたしに、お喋りを遮られた奥さまたちは怪訝そうな顔をしています。

 「あ…。ごめんなさい…」

 ようやく井戸端会議が終わってくれました。わたしは部屋に急ぎます。ソファーに座ると目をつぶります。

 井戸端会議も上の空に妄想を繰り広げるわたし。バカみたい…って自分でも思います。でも、とにかく△井との肉欲に溺れてしまった…。思いを募らせるわたしは、妄想の中で覚えている性戯の限りを尽くします。 
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