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~菊タブー~ さる旧家の闇深い母娘調教録
第14章 :母娘の分断 其の一…雅子への罠
催しが終わると同時に雅子は体調がすぐれぬ旨を、お付きの猫渕に告げる。
「雅子奥様、早々にお帰りとあっては、大変、心証が悪うございますよ」
猫渕は、さも、菊常家の体裁を気にするふうで、雅子に耳打ちする。
「縦邪殿も、接待室でお待ちですし、多少の時間をご歓談に割かれた方が」
菊常家に永年仕える猫淵に言われては、雅子も従うしかなかった。

雅子は縦邪という男と、かねてから面識があった。
結婚当初、とある慈善事業の集会で顔を合わせた彼は間違いなく、まだ若さを持て余す雅子に性的な視線を向けてきた。
あろうことか、臀部を軽くタッチされたのは、今でも消えぬ不快な思い出だ。
『いや、あんたのお尻に糸屑が付いていたんでな』
ぐひひひ、という下卑た嗤い声は、いまだに鼓膜の奥に残っていた。

「いやいやいや、ようこそ、雅子令夫人殿」
業かな西洋の宮殿と見紛う、執務室兼応接間に通された雅子を、縦邪は気さくな、悪く言えば不遜な態度で迎える。
「本日はお招きにあずかりまして、光栄にございます」
雅子は名家の令夫人らしく、型通りの挨拶を交わそうとするも、まあまあ、と首長は馴れ馴れしく美貌の熟女の肩を叩いて、ソファに押し戻した。
「いやあぁ~~、誠にお美しいのう、かつて東洋のモナリザと謳われただけの事はある。いっぺんで良いから、あんたとこうして向き合ってみたかったんよ」
父兄にも程の有る態度で、縦邪は頷きつつ、秘書にダージリンを運ばせる。
気まずい空気に唇を軽く噛み締めつつも、雅子はティーカップに蠱惑的な唇をつける。
しばし、一見和やかな面談となった。
が、すぐにその空気は一変する。
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