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わたしの放課後
第3章 はじめてのセックス
 『いらっしゃい。ようこそ』

 おじさんのテントはこの前の古本市のときと同じ場所にあった。

 『こんにちは。この前はありがとうございました』
 『いえいえ、こちらこそ。来てくれてうれしいよ。今日は制服じゃないんだね』
 『この前は学校帰りだったので』
 『今日は祝日だものね。じゃあ、わざわざお家から来てくれたの? うれしいな。ああ、そうだ。これ、よかったら持って帰って』

 おじさんが数冊の本が入った手提げの紙袋を渡してくる。

 『お嬢さんが好きそうな本を見つくろっていたんだ。お代は要らないから』
 『えっ、そんな』

 来るかどうかも分からないわたしのために本を見つくろって持ってきてくれていたなんて…。

 『一度に渡すと重たくなると思ったからこれだけ持ってきてみたんだけど、店にはまだいろいろあるんだ。よかったら遊びに来てね』
 『ありがとうございます。…あの、わたしからも渡したいものがあって。これ、この前のお礼というか、ほんの気持ちです』

 わたしは紙袋を渡す。この前の『値引額』にははるかに及ばないけれど、駅から公園に来る途中の和菓子屋さんでお饅頭の折詰を買ってきていた。本当は家の近くの行きつけの和菓子屋さんで買いたかったけど、住んでいるところが知られてしまうのはちょっと怖かったから。

 『ありがとう。そんなつもりじゃなかったんだけど。でも、すごくうれしいよ。お嬢さんみたいな素敵なレディからプレゼントをもらうなんてね』
 
 おじさんの大げさな言い方がちょっと滑稽で笑ってしまった。

 『おじさん、独り暮らしだから食べきれないともったいないな…。一緒に食べない? ちょっと待っててね』

 おじさんが自動販売機で温かいお茶を買ってきて、ふたりでお饅頭を食べた…。思っていたよりも美味しかった。家の近くで買わなくて正解だったかも、と思った…。

 「そうだったね。恵子ちゃんが次の古書市にも来てくれて、すごくうれしかった。でも、前の日にそんなふうにおじさんのことを思ってくれていたとは思わなかったよ」

 おじさんはわたしのブラウスのボタンを外しブラジャーの上から胸を掌で包んだ。それほど大きくもないから包むというよりは掌を当てるというほうが近いけど。

 「恵子ちゃんが買ってきてくれたお饅頭がすごく美味しかった…。やわらかくて、甘すぎもせず…」
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