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わたしの放課後
第2章 おじさんへの想い

元教師の母は、父が単身赴任したのを機に、学習塾に講師として勤め始めた。週に2日ほど数人の小学生を教えているらしい。そして学習塾でアルバイトしている大学生と浮気している。なぜなら、わたしがはじめて青空市に寄っておじさんに出逢った日、家の手前まで来たときに、家から出てくる彼を見たから。素知らぬ顔で彼をやり過ごして、しばらくしてから家に入った。
『あら、どうしたの? やけに早いじゃないの。早退でもしたの?』
『今日は午後の授業が2つとも休講になったから帰ってきたの。それよりもいま出て行った人は誰?』
『え? …ああ、わたしと同じ、塾で講師をしている人よ。来週、彼の授業かわってくれないか…ってお願いに来たの』
『ふうん。そんなの電話ですればよさそうなのに』
『それもそうね』
母はそう応えたが頬は上気して目は潤んでいる。母の顔をじっと見ていると母が言った。
『お父さんには内緒にしてね』
女どうしで隠し通せないと思った…と後になって母は言っていた。
『え? 別にいいけど。お姉ちゃんにも、でしょ?』
『そうね。お願い。…恵子は明日は何時に帰る?』
不意を衝かれて娘が帰宅したことに懲りたのだろうか、母はわたしが帰る時間を訊いてきた。
『明日も来るの? 彼。話し合い、終わらなかったんだ?』
母は黙って困ったような笑顔を浮かべていたから、それ以上詮索するのはやめた。
『明日は、遅く帰るよ』
『わかったわ』
特に用事もなかったけど遅く帰ることにした。姉にも同じようなことを言われたことがある。
「お姉さんがいるんだね? 恵子ちゃんに似ているの?」
「似てないと思いますけど…」
姉は母よりももっとストレートだった…。
『あら、どうしたの? やけに早いじゃないの。早退でもしたの?』
『今日は午後の授業が2つとも休講になったから帰ってきたの。それよりもいま出て行った人は誰?』
『え? …ああ、わたしと同じ、塾で講師をしている人よ。来週、彼の授業かわってくれないか…ってお願いに来たの』
『ふうん。そんなの電話ですればよさそうなのに』
『それもそうね』
母はそう応えたが頬は上気して目は潤んでいる。母の顔をじっと見ていると母が言った。
『お父さんには内緒にしてね』
女どうしで隠し通せないと思った…と後になって母は言っていた。
『え? 別にいいけど。お姉ちゃんにも、でしょ?』
『そうね。お願い。…恵子は明日は何時に帰る?』
不意を衝かれて娘が帰宅したことに懲りたのだろうか、母はわたしが帰る時間を訊いてきた。
『明日も来るの? 彼。話し合い、終わらなかったんだ?』
母は黙って困ったような笑顔を浮かべていたから、それ以上詮索するのはやめた。
『明日は、遅く帰るよ』
『わかったわ』
特に用事もなかったけど遅く帰ることにした。姉にも同じようなことを言われたことがある。
「お姉さんがいるんだね? 恵子ちゃんに似ているの?」
「似てないと思いますけど…」
姉は母よりももっとストレートだった…。

