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わたしの放課後
第1章 おじさんとの馴れ初め
 テントをいくつか見て回る。お店の人も『いらっしゃい』と声を掛けるわけでもないし、椅子に座って本を読み耽っている人もいる。あるテントでお気に入りの作家の名前を見つけた。気に入って図書館でこの作家の本を見かけると読み耽っていた。何冊かまとまって置いてある。有名になる前のペンネームの本も一緒に置いてある。有名になる前のペンネームの本は滅多に見ることはなかったからお宝を見つけた気分。

 『これください。いくらですか?』

 一冊の本を取ってお店の人に渡す。作家が若い頃に書いた本。『恋愛もの』と言えばそうだけど、癖があるというか、単純な男女はあまり出てこない。一筋縄ではない題材が多くて、そういうところが好き。意外とラブシーンもあったりするところも。ラブシーンと言えば聞こえがいいけど、その、なんというか、男女の営み…っていうのかな…。だから、自分の趣味を問われたら『読書』とは言えるけど『好きな作家』として言うにはちょっと恥ずかしい…そんな感じ。

 『いらっしゃい。…ああ、値段はねここに貼ってあるんだ』

 おじさんが裏表紙をめくって値段を書いた紙が貼ってあるのを見せてくれる。思ったよりずっと高かった。戸惑っているわたしを見兼ねたのかおじさんが助け舟を出してくれた。

 『ちょっと高かったかな。でもお嬢さんに読んでもらえたらこの本もよろこぶね。ゼロ1つ取っちゃおう。それでよければどうぞ』

 財布の中のお札の枚数を確かめなくては…と思っていたら、いきなりコインで買える値段になってしまって、また戸惑う。

 『えっ、いいんですか? でも、それじゃあんまり…』
 『いいんだ。お店もそろそろ畳もうかと思っていたところだし。せっかく手に取ってくれたんだものね』

 おじさんはわたしからお札を1枚受け取ると、丁寧にお釣りまでくれた。

 『ありがとうございます』

 わたしとおじさんはお互い同じ挨拶を同時にしてお互い照れ笑いをした。それがおじさんとの馴れ初め…。
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