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夜に咲く名前のない恋人達
第8章 「心配するな」
結局、ぷりんはステージに戻ることができず、ライブ終わりの挨拶の時間になった。

ぷりんは泣き崩れた顔のまま、ステージに戻った。

名前とグループ名、そして「ありがとうございました」と言うだけの、ほんの短い時間。

メンバーと整列するため、左端の定位置へ移動する。

その瞬間。

パン、パン、パン♪

会場のざわめきの中から、たった一人だけ、拍手をしているのが聞こえた。

えっ……?

もしかして……ルカくん?

一瞬、希望を抱きながら音の出所を探す。

しかし壁際に立って、手を叩いていたのは響だった。

ルカくんじゃないんだ……

響さんか……

ルカじゃなくて落胆しかけたが、響の表情はどこか晴れやかで、優しく微笑んでいる。

まるで「大丈夫だよ」と言うように、穏やかに手を叩いていた。

何か進展があったのかな……?

まさか戻ってきたとか……?

少しだけ安堵した気持ちが広がる。

ふわっと微笑みを浮かべたぷりんは、マイクを構えた。

「ぷりんっ」
「ぽん」
「姫」
「夢愛」

「以上、ふらっと#らぶでした。」

「ありがとうございましたっ」

フェスの持ち時間の関係で、全部で10秒程度の早口の挨拶。

アイドルフェスの挨拶は、会場のほとんどの人が、グループ名すら聞き取れない。

芸名がフルネームだったら、まるで呪文である。

笑顔を少しだけ取り戻したぷりんは、こうしてライブを終えた。
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