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雨が好き
第108章 初めての夜
【初めての夜】

部屋の灯りが落とされて、
私たちは、間近で互いの瞳を見つめ合う。

『私はずっと、あの夕闇の中に佇んでいた。
 ひとりで、ずっと、ずっと、誰の目も、声も届かないところで、
 止まった時の中、永遠に終わらない夕暮れに閉じ込められていた。』

『でも、あなたは私を見つけてくれた
 初めてのキスは・・・そう、花火大会の夜・・・』

花火の一瞬の光に世界が照らされた、あの日の夜のように、
蒼人さんの唇が、私のそれに優しく触れる。

温かさが、私の中に流れ込んでくる。

『私が怖かった時、ひとりだったとき、
 あなたはそばにいてくれた・・・』

ゆっくりとパジャマのボタンが外される。
あなたの手が私の肌に滑り込んでくる。
触れられたところが、触れられただけ震えて、熱を持つ。

肌と肌、もっと近くで触れ合って、
あなたの気持ちがそのまま伝わってくるみたいに感じる。
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