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雨が好き
第107章 夜のはじまり
蒼人さんが、私の方に近づいてきた
ドクン、と心臓が、また自己主張をする。

私がソファから立ち上がり、
彼は、また一歩、近づいてきて、
二人の身体が触れ合うほどになっていく。

パジャマを通して、互いの肌の温度を感じる
吐息の湿度
ボディソープとシャンプーのよい香りがして

まずは視線が、
そして右手の指が絡み合って、
唇が触れ合う。

一回・・・二回、
深く、より深く・・・

「みなとさん・・・」
目を見つめられて、名前を呼ばれて、
それが意味することが、分かってしまうから、
私も、もっと近くに行きたいから、
あなたと、もっと、もっと、触れ合いたいから・・・。

小さく頷くと、蒼人さんが私の身体をギュッと抱き寄せる。
身体が一瞬浮かび上がるような感覚。
そしてふたりは、互いの体温を感じながら、
大きなベッドの海の中に、ゆっくりと倒れ込んでいった。
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