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雨が好き
第106章 雨の庭
ラウンジの隣はレストランスペースになっているみたいで、
宿泊客らしいカップルが連れ立って入っていくところが見えた。

「みなとさん、お待たせしました」

レストランも英国風
出てきたお料理もイギリスのそれだった。

可愛らしい、スモークサーモンのムースのカナッペ
きれいな色をした、ローストトマトとバジルのスープ
しっかりお肉の詰まったシェパードパイ
甘いシュトロイゼルがかかったアップル・クランブル

蒼人さんはジン・トニックを
私は、少しだけ迷って・・・甘めのスパークリングワインを飲むことにした。

大きな木のテーブル
中央には炎を揺らすランプ

チン、とグラスとグラスをあわせる。

「乾杯」
「乾杯・・・」

蒼人さんが一口
私も一口

しゅわっと口の中に花が咲いたような香りが広がって
喉を甘くて冷たくて、熱い感じが通り過ぎていく。

蒼人さんが少し目を泳がせるようにして、
「ただの乾杯じゃなくて、なにかに乾杯・・・ってしたほうが良かったかな?」
って。
「なにか?」
と私が聞くと、ちょっと照れたように、更にソワソワする。

「え・・・っと・・・初めての、夜に・・・とか」
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