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雨が好き
第106章 雨の庭
買ってもらったお洋服を丁寧にバッグにしまう。
蒼人さんはそのまま紙袋を持っていた。

「お荷物、持ちますね」

自分の荷物をひょいと担ぐと、私のキャリーバッグを引いてくれる。
それではあまりにも悪いので、私が紙袋を持つよと言った。

蒼人さんがとってくれたお宿は、ここからタクシーで10分くらい。
歩けるんじゃない?と言ったのだけど、
「最初はそのつもりでしたけど・・・みなとさんもたくさん歩いたみたいだし・・・それに・・・」

と言ってその後の言葉は続かなかった。
結局、タクシーでお宿に向かう。
そして、向かっている途中に、ぽつ、ぽつ、と
車の窓ガラスに大粒の雨が当たり始めた。

たったの10分だったけれども、ホテルに着いたころには、
雨が木の葉を揺らすほどの本降りになっていた。

ホテルの軒下に車をつけてくれたので、
幸運なことに、私達はあまり濡れずに済んでいた。
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