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雨が好き
第91章 映画館
「すっごい、いい映画でしたね・・・って、みなとさん?」
いつの間にかエンドロールが終わり、館内は明るくなっていた。
私は随分ぼんやりと蒼人さんを見つめてしまっていたみたいだった。
慌ててバックを持って、席を立つ。

「最後、消えちゃうシーン、すごい切ないですけど、
 なんだろう、あれ、お腹に赤ちゃん出来たのかな・・・
 それで、魂が2つになったから・・・ってこと?」

そう、ヒロインの女性は魂を賭けたので、本当は消えてしまうはずだったのに、
最後、生まれ変わってまた主人公の男の子と出会えそうな、そんな描写があったのだ。

それは、二人が幸せに結ばれて、それが天の掟を塗り替えたって
そういうことなのかと、そんなふうに蒼人さんは言っていた。

映画館をあとにすると、街は夕闇に沈み始めていた。
春の訪れが近いのか、最近はこの時間でも空気が少し温んでいる気がする。

「食事、してから帰りましょう・・・」
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