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第91章 映画館

蒼人さんが、キュッと、手を繋いでくる。
なんだか、それはとても自然で、そして温かくて、
私は、さっきの映画の二人を思い出してしまう。

蒼人さんと私も、恋人同士で
手を繋いで、キスもして・・・ぎゅってしてもらって
わ・・・私も、あんなふうに・・・

そこまで考えて、急になんだか恥ずかしくなってしまう。

それでももっと私は蒼人さんと近づきたくて、
スクリーンの中のヒロインのようにたくさん甘えたくて・・・

映画館の雰囲気に、飲まれちゃっていたのかもしれない。
この日の私は、いつになく強く、
蒼人さんの手を握り返してしまっていた。