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雨が好き
第87章 バレンタイン・デー

【バレンタイン・デー】
『古谷さん、一緒にチョコレートを作ってくれませんか?』
耀さんからそう言われたのは、あの学園祭の打ち上げから2日後のことだった。
学祭の振替休日だという彼女は、わざわざお父さんへのお礼だからと、お菓子を持って尋ねて来てくれたのだ。
「これ、サークルのみんなからです。『みなと町』の全面的なご協力のおかげで、学園祭、大成功でした」
そう言って、深々とお辞儀をする。すごく、きちんとしている。
さすがは部長さんだな、と思ってしまう。
「わざわざすまないね」
お父さんにも、耀さんの真っ直ぐな気持ちが伝わったようで、やわらかな笑みがこぼれていた。
ところで、とそのとき、言われたのが、冒頭の言葉だった。
チョコレートを一緒に作りたい、と。
「え?チョコレート?」
「はい・・・。あの、もう、来週ってバレンタインじゃないですか・・・。本当は、買ってお渡ししようと思ったんですけど、今回、『みなと町』のメニューづくりの話を聞いて、もしかしたら古谷さんと一緒なら、手作りもできるんじゃないかって・・・」
誰に渡すの、などということは、聞くまでもなかった。
『古谷さん、一緒にチョコレートを作ってくれませんか?』
耀さんからそう言われたのは、あの学園祭の打ち上げから2日後のことだった。
学祭の振替休日だという彼女は、わざわざお父さんへのお礼だからと、お菓子を持って尋ねて来てくれたのだ。
「これ、サークルのみんなからです。『みなと町』の全面的なご協力のおかげで、学園祭、大成功でした」
そう言って、深々とお辞儀をする。すごく、きちんとしている。
さすがは部長さんだな、と思ってしまう。
「わざわざすまないね」
お父さんにも、耀さんの真っ直ぐな気持ちが伝わったようで、やわらかな笑みがこぼれていた。
ところで、とそのとき、言われたのが、冒頭の言葉だった。
チョコレートを一緒に作りたい、と。
「え?チョコレート?」
「はい・・・。あの、もう、来週ってバレンタインじゃないですか・・・。本当は、買ってお渡ししようと思ったんですけど、今回、『みなと町』のメニューづくりの話を聞いて、もしかしたら古谷さんと一緒なら、手作りもできるんじゃないかって・・・」
誰に渡すの、などということは、聞くまでもなかった。

