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雨が好き
第85章 耀一さん
耀さんは、おしゃべりしてても全然普通で、言われなければ男の子とはわからなかった。でもお昼が終わって、彼女がブースに戻る時、

「全くそう見えないって、よく言われる。
 でもね、別に手術とかしているわけじゃないからさ
 油断していると・・・」

『地声が出ちゃうんだよね』

そう言った声は、確かに少しハスキーだけど、男の子のそれだった。
よろしく、といって握られた手の感触も、女の子よりはがっしり。

ああ、本当にそうなんだな、と思った。

学園祭、二日目も無事に終わった。
撤収の関係があるのか、一日目よりは早く終わる。

「あー終わったー!」
「おつかれー」
「さ!飲みに行こう!」
「片付けろや!」

そんな会話。
私は、レンタル品のチェックや『みなと町』から持ち出した備品を確認
それを箱にしまうお手伝いをした。

みんなで一斉にお片付けをしているせいかな、
さっきまであったブースたちが、次々と畳まれていく。

そして、日が傾いて、暗くなる頃には、
昼間の喧騒が嘘みたいに、暗くて静かな空間がそこにあった。

きっと、これが本来のこの大学の夜の姿、なんだろうな。
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