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雨が好き
第83章 大学生
「ありがとうございました」
最初に挨拶をした部長さんと思しき子が、最後にまた、深々と頭を下げる。

「みんな!どうだった?」
水際さんが声を掛けると、それぞれ口々に

「初めてやったけど、楽しかった」
「古谷さんのコーヒー、美味しかったです」
「ラテアート、家でもできたらいいな」

そんなふうに言ってくれた。

教え始めたのが、18時過ぎだったこともあり、
8人の大学生たちが帰っていったのは、大分遅くなってしまった。

水際さんが、お片付けを手伝ってくれる。

やっと終わった、と思いながら、ふと考えた。

私がお父さんから教わったこと
私が、勉強して、覚えたこと
それが誰かに伝わった・・・?

なんだか、それは、夢みたいに実感がないことだった。

じっと、流し場を見てみる。
たくさんのカップ、ポット、ミルクサーバー

それらが、大学生たちに私が教えた時間、というのがあったことを確かに知らせる。
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