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天狐あやかし秘譚
第92章 寤寐思服(ごびしふく)
そんなこと、俺はこれまで一度だって、誰からも言われたことがなかった。もちろん、ダチはいる。でも、友達っていうのは、告白して付き合うものでもないし、当然、『好きだ』とか言い合うことなんてない。
そもそも、親にすら愛されなかった俺は、人に愛される資格なんてないんだ・・・と、心の何処かで思っていた気がする。
だから、この時、俺は、この日暮の真っ直ぐな言葉に、なんて答えていいのか、すぐにはわからなかった。
もしかしたら俺がピンチに陥っているかもしれない・・・そんな不確かな情報だけであそこまで駆けつけてくれた。
俺が悲しいと感じていた時、そこにいて強く抱きしめてくれた。
そんな人、俺の半径5メートル以内に、生まれてこの方、いたことなどなかった。
だから、日暮のあまりにも真っ直ぐな『好き』という言葉に、俺は戸惑って、なんて言っていいかわからなくなってしまったのだ。
だけど・・・
彼女の思いが冗談なんかじゃないことくらい分かっていたし、大切にしなきゃいけない思いだということも分かっていた。
だから、俺は、できない返事の代わりに、彼女の身体を後ろから、強く、強く抱きしめたのだった。
そもそも、親にすら愛されなかった俺は、人に愛される資格なんてないんだ・・・と、心の何処かで思っていた気がする。
だから、この時、俺は、この日暮の真っ直ぐな言葉に、なんて答えていいのか、すぐにはわからなかった。
もしかしたら俺がピンチに陥っているかもしれない・・・そんな不確かな情報だけであそこまで駆けつけてくれた。
俺が悲しいと感じていた時、そこにいて強く抱きしめてくれた。
そんな人、俺の半径5メートル以内に、生まれてこの方、いたことなどなかった。
だから、日暮のあまりにも真っ直ぐな『好き』という言葉に、俺は戸惑って、なんて言っていいかわからなくなってしまったのだ。
だけど・・・
彼女の思いが冗談なんかじゃないことくらい分かっていたし、大切にしなきゃいけない思いだということも分かっていた。
だから、俺は、できない返事の代わりに、彼女の身体を後ろから、強く、強く抱きしめたのだった。

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