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天狐あやかし秘譚
第92章 寤寐思服(ごびしふく)
はあ・・・はあ・・・
す・・・すごい・・・

「ご・・・ごめん・・・口の中に・・・」
日暮は手の平の上に、俺の精液を吐き出していた。別に嫌そうな顔をしていなかったのが幸いだ。

「へへへ・・・いっぱい・・・でましたね・・・。うれしいです♡」

そのままシャワーのお湯で手を洗い、口を少しゆすいでいた。もう、このときにはすでに、身体に巻き付けていたタオルはすっかり開けており、浴室の床にずぶ濡れになって落ちてしまっていた。

生まれたままの姿の日暮の身体が目の前にある。

肉付きの良い身体、豊かな胸。腰のあたりが優しいカーブを描いている。シャワーのお湯が肌の上をコロコロと転がっておちていた。可愛らしいお臍の下には、薄いアンダーヘアが見えていたが、さすがに恥ずかしかったのか、そこは手で隠していた。

「あ・・・あんまりじっと見ないでください・・・」

いつの間にか俺は、彼女の身体を凝視してしまっていたみたいだった。そう言われてはっと気づいて、慌てて視線を外そうとするが、しかし、すぐに、そっちにまた目が行ってしまう。

「あ・・・の・・・私もっ、お風呂、入っていいですか?」

確かにびしょ濡れで立たせたままでは冷えてしまう。俺は慌てて立ち上がると、左手を差し伸べ、日暮が湯船に入れるようにしようとした。しかし、彼女は御九里さんも、と言い、結局二人で湯船に入ることになってしまう。

そもそもが一人用の部屋だ。決して湯船も広くはない。二人で入るのはかなり無理矢理感があり、当然、身体が密着するようになってしまう。日暮が前、俺が後ろで入ったので、俺のちんぽが湯船の中で日暮のたっぷりと肉付きのいいお尻に押しつぶされるようになってしまっていた。

もちろん、日暮の背中も俺の身体に密着し、俺の手の上に日暮がそっと手を置く・・・そんな感じになってしまう。

「ふふふ・・・御九里さんとお風呂・・・とっても気持ちいいです・・・」
ゆっくりと振り返った日暮が、ろくに動けない俺の唇にキスをする。

「御九里さん・・・私・・・私・・・好き・・・なんです・・・
 ずっと、ずっとあなたのことばかり考えてしまって・・・ごめんなさい・・・あなたの気持ちを聞く前に、私、本当に・・・」

好き、という言葉に、俺の胸がドキンと跳ねる。
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