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unbalance
第39章 カレー
しばらく経って、七時前には相馬は起きてきた。
「めっちゃいいにおいする」
居室と廊下との境目に現れた相馬が、まだ寝起きの顔をして、そう言った。
「カレー?」
「うん」
幸いなことに、使った形跡のない包丁とまな板と、使った形跡のない鍋とおたまは相馬の家に揃っていた。
部屋は好きにしていい、と言われていたので……
あれ、台所使うって流石に範囲外?
と急に思って不安になった私の背後から、相馬が腕を伸ばす。
「容赦ないな。もうこんなにベタ惚れだって言ってんのに」
そのまま相馬は私の髪に顔を埋めて、緩く抱きしめた。
「胃袋まで掴もうとしてくるとか」
「そ、そんなつもりじゃ」
ただ、私は相馬が喜んでくれればと思って……。
「腹減った」
相馬が私の腰周りを撫でながら言う。
「……危ないよ、火ぃ着いてるんだから」
「ん」
相馬は素直に離れた。

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