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unbalance
第30章 個室
私が頷くと、あちゃー、と相馬は声を上げた。
「俺、霧野が行きたいと思ってめっちゃ気ぃ遣ったんだけど……」
「……なにそれ」
「だってさあ、昨日、俺が予定変更したいって言ったとき、霧野は嫌な顔一つしなかったからさあ」
だって、嫌じゃなかったし。
「俺も、行くなとは言えなくてさあ……でも結局こんな時間に引き止めてさあ……」
片手で顔を覆いながら悔しがる相馬は、何だかすごく相馬らしくて、可愛かった。
「まじごめん。こんな時間に」
「いいよ、残業してたらこの時間まだ会社だし」
「いつも、そんな遅くまで残業してんの」
「毎日じゃないよ?」
私は慌てて否定する。
「だといいんだけど」
と、相馬は私を窺って、
「まあ、だから、正直冷やかしというか……あんまりよくない気持ちで野次馬しに行って」
話を戻した。
「よくない気持ち?」

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