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The Bitch (ザ、ビッチ)
第8章 エピローグ  『わたしの好きに...』
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「さぁ、そこに座って…」
 彼をベッドサイドの床に座らせ、わたしはイスに座り、脚を、ストッキングを穿いたヒールを目の前に伸ばし…
「さぁ、ヒールを脱がすのよ…」
 命令口調で告げる。

 すると彼の目が揺れ、動揺に泳ぎ、まだ、昂ぶりの色は見えなかった、いや、驚きの色を浮かべ…
「え……」
 と、戸惑いの声を漏らす。

 それはそうだろう…
 下心と、ハッキリと誘えなかった己のジレンマの思いの焦燥を抱きながら待ち伏せしていた彼にとっては、まるで青天の霹靂の如くのわたしからの誘いで辿り着いたこのホテルの部屋に入るなり、いきなり座らせられ、脚を差し出され…
『さぁ、ヒールを脱がすのよ』
 そう命じられたのだから、戸惑うに決まっているのだ。

 そしていきなりの、彼にとっては理想ではあるはずなのだが、予想だにもしなかったであろうこの怒涛の展開に…
 戸惑い、動揺以外のリアクションはないと思われる。

「ふうぅ…」
 そうだよね、ま、仕方ないか…
 そんな想いを巡らせ、少しの助け舟を出してあげる事にする。

 だって誘ったのはわたしだから…
 そう簡単に彼にはスイッチが入るどころか、戸惑いの揺らぎがそうそう消えそうもないから。

 それにあまり、女性経験も無さそうだから…
 本来の、いつものわたしならば、こんなオンナに対して未熟なオトコは初めから門前払いなのであるのだが…
 逆に、自称『百戦錬磨』というオトコを虐り、貶める事でビッチという想いが昂ぶり、愉悦するのだが…
 とにかく今夜の彼、斑鳩くんは、いつも、いや、今までのようなワンナイトのわたしのビッチ心を満たすオモチャではないのである。

 そして和哉の代わりでもない…
 心の穴、隙間を埋め…
 新しい『わたし』というオンナを作る、ううん、生まれ変わり、代わりたいわたしの、再生の為の…
 『エサ』であり『生け贄』なのだから。

 だからこそ…
 最初に少しだけ優しくし、その気に昂ぶらせてあげよう…
 そして…
 昂ぶってから儀式という選別のテストをしよう…

 だって…
 できれば本当は生まれ変わりたいし、代わりたいし、心の穴を埋めたいから。
 そしてそれが、彩ちゃん曰くの…
『わたしの好きにする…』
 なのだろうと思われるから。
 
「ふうぅ、そうよね…」
 一転、そう優しく囁き、彼の目を見つめる…
 


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