この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
千一夜
第47章 第七夜 訪問者 疑惑
 市長室から市長が出てくるのが見えた。それはつまり今市長室には咲子の父が一人でいると言うことだ。咲子と付き合うようになっていくらか遠山高獅との距離は縮まったのかもしれないが、会うとなるとやはり気が重い。
 市長室に向かおうとしたら、市長が「そこで待て」と言う風に掌を私の向けて私を制した。市長が来るのを待つ。
「よぉ長谷川君」
「おはようございます」
 私は市長に頭を深く下げた。
「君さ、何かやらかしたか?」
「はっ?」
「会長の機嫌があまり良くなくてさ。君、何か心当たりがないか?」
「いいえ」
 さっきも市長秘書がそんなことを言っていたので気にはなっていた。だが、会長を怒らせるようなことは……。
「僕が言わなくても君ならわかると思うが、万が一今回の話がご破算になったら君の居場所がなくなるよ。もちろん役所にはいられない。この街に住むことだって無理だ。君はこの街で仕事に就くことはできないからね。他所に行っても会長は君を追いかけるよ。まぁ、言わなくても君ならわかっているはずだ。しっかり頼むよ」
「はい」
 私はもう一度市長に頭を下げた。
 市長がエレベーターに乗るまで私はそこを離れなかった。
「失礼します」
 私は市長室のドアをノックして部屋に入った。咲子の父は応接セットのソファに座って腕組みをしていた。
「お呼びでしょうか?」
 咲子の父は顔だけを私の方に向けた。「座れ」とは言わない。
「君は校歌を歌えるか?」
「はっ?」
「ああ、そうか君の大学は校歌ではなく塾歌と言うんだよな」
「塾歌……あっ、はい、そうです」
 塾歌のことなんて全く予想していなかった。
「で、歌えるのか?」
「……ええと」
 塾歌を聴いたのは入学式と卒業式くらいだ。歌えるはずがない。
「ふん、勉強とアルバイトだけの大学生には母校愛なんてないか。まぁ仕方がない。いいか、神宮の三塁側スタンドで塾歌も応援歌も歌えないようじゃ話にならん。KW戦まで歌えるようにしておきなさい」
「はい」
「それから君に一つ言っておく。君と咲子はまだ婚約していない。咲子は大人だ。だが私の娘でもある。四十を前にした娘でも帰りが遅くなれば親は心配する。私が何を言いたいかわかるか?」
「はい、申し訳ございませんでした」
「二度と私を心配させるな」
「本当に申し訳ございませんでした」
 私の体はずっと震えていた。
/586ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ