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千一夜
第47章 第七夜 訪問者 疑惑
「何だか長谷川が可哀そうだわ」
「今頃気がついたか?」 
 庁舎三階の小会議室で私は仕事の引継ぎをしていた。私が退職した後の統括は香坂が務める。もちろん、私が市長になれば香坂は副市長、香坂の後釜にはまた別の誰かがおさまる。私は今週一杯で役所を退職することになった(というより退職しなければいけない)。
「でもさ、長谷川が市長になればポストが一つ空くでしょ?」
「二つだ」
「あーそうか。なんだかんだ言っても役所だって偉くなりたい人間だらけじゃん。でも不思議なのよね。出世には全く興味がない長谷川が市長になるんだもの。長谷川には悪いけど、私の目には長谷川なんて冴えないおっさんにしか見えないんだけど」
「冴えないおっさんだよ」
「ご謙遜を。その冴えないおっさんが遠山のお嬢様の目に留まったのよ。世の中不思議よね」
「その点異論はない」
「ふふふ」
「ところで昨日のことだけど」
「沢田さんのこと?」
「そうだ。香坂がどこで沢田絵里に会ったのかどうしても知りたいんだ」
「ごめん、あれから思い出そうとしているだけどどうしても思い出せないのよ」
「例えばこの街のスーパーかコンビニで会ったとか」
「いいえ、それは違うわ。でも私はあの美人さんにどこかで会っている。そのどこかが思い出せないの。絶対にスーパーやコンビニなんかじゃないわ」
「随分自信があるんだな」
「私まだ若いですから」
「ははは。だったら旅先だとか。旅行先で会ったんじゃないのか?」
「長谷川、私はあなたと違って北海道旅行なんかに行けませんから。旦那の仕事と私の仕事で休みなんてなしよ。旦那と子供を置いて一人で旅に行けるわけないでしょ? 行けるものなら行ってみたいわ。のんびりと温泉に浸かって手と脚を思いきる延ばすの。ああ温泉に行きたいわ」
 そのとき、部屋のドアをノックする音がした。部屋に入っていたのは市長の秘書だった。
「長谷川統括、市長がお呼びです」
 田村という三十代の男の秘書がそう言った。
「ありがとう」
「統括、遠山機械工業の会長もいらっしゃってます」
「あ、そう」
「それで」
 田村は何かを言いずらそうしている。
「どうかしたのか?」
「会長が少し」
「少し、少し何だ?」
「怒ってらっしゃるようで」
「怒ってる?」
「はい」
「了解だ」
 田村が部屋を出て行った
「会長怒らせたら、長谷川、あんた無職になるわよ」
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