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千一夜
第42章 第七夜 訪問者 雨
 朝食を済ませて私と咲子は外に出た。細かな雨がまだ降り続いている。太宰亭から借りた一本の傘の中、で私と咲子は身を寄せた。
「北海道ではよくあるみたいなの」
「朝食のジンギスカン?」
 私は朝食で出されたジンギスカンに驚いたのだ。
「高校時代の私の友人が札幌の大学に進学したんだけど、どこの大学でもジンパが盛んだったみたいよ」
「ジンパってジンギスカンパーティーを略して?」
「そう」
「でも朝からジンギスカンはちょっと重いよな」
「長谷川さん、年寄みたいなこと言わないでよ」
「ははは、ごめんごめん」
「ふふふ」
「でも、もうおっさんだ。悲しいけどね」
「長谷川さん、私まで悲しくなるわ」
「ごめんごめん」
「ふふふ」
 いい香りがする。咲子がお気に入りの香水。通りに誰もいないのを確認して、私は咲子の髪にキスをした。
「雨も悪くないな」
「そうね。長谷川さん、これから私に付き合って」
「構いませんょ。何を付き合えばいいんですか?」
「甘いものが食べたくなったの」
「朝食を食べたなかりなのに?」
「甘いものは別腹よ」
「別腹って、何だかおっさんの台詞だな」
「バカ」 
 咲子はそう言って私の腕をつねった。
「ははは、了解です」
「長谷川さんは甘いものが好き?」
「酒も甘いものも大好きです」
「よかった。ここから少し遠いところなので竹内を呼ぶわ」
 咲子は竹内を呼んだ。
 五分もしないのに、竹内は私たちのところにやってきた。
「彩華に行って」
「承知しました」
 竹内にはいろいろ驚かされるが、湯の川温泉の道路地図も竹内の頭の中に入っていた。
 十分ほど車に揺られていると、湯の川温泉のカフェ彩華に到着した。時間は朝の九時半。朝のこんなに早い時間から店内は観光客(おそらく)で賑わっていた。それでも私と咲子は海が見える席に通された。混んでいるのに私たちが一等席に通されたのには訳がある。竹内が彩華に連絡を取ってこの特等席を確保していたのだ。
 咲子はチーズケーキと紅茶を頼み、私はロールケーキとコーヒーを頼んだ。
 咲子はあっという間にチーズケーキを平らげた。それから咲子は、手のついていない私のロールケーキを見て「少し頂戴」と言った。 
 私はロールケーキがのった皿を私は咲子の前に置いた。
「どうぞ」
「ありがとう」
 咲子はにこりと笑ってそう言った。
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