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千一夜
第42章 第七夜 訪問者 雨
早川は、今朝釧路から届いたホッケだと言った。もちろんホッケの塩焼きは食べたことがある。だがホッケの握りは初体験だった。
口の中にホッケの握りを入れる。ネタと酢飯が絶妙のバランスで溶けていった。
「はぁ」私は心の中でため息をついた。これが高級寿司店の技なのか……。
「ニシンもいいものが揚がったと連絡があっあんですが、今は旬じゃないんですよ」
「ちなみにニシンの旬は?」
気になったので私は早川に訊ねた。
「春です」
「春?」
「長谷川さん、春にまたいらっしゃってください。極上のニシンを送らせますから」
「ありがとうございます」
例は言ったが、多分私がニシンの握りを食べることはないだろう。
私は、早川が勧める地の魚を食べた。咲子は松前のマグロを大トロ、中トロ、そして赤身の順番で早川に握らせた。まぁ、松前のマグロなんだからそれもまた地の魚と言っていいのかもしれないが。
「牡蠣が二種類」
心の声を抑えることができない。
「厚岸と北斗の牡蠣です。先ずはそのままお召し上がりになりますか?」
早川は私が漏らした言葉を聞き逃さない。
「いいんですか?」
「構いませんよ。厚岸と北斗の牡蠣を存分に味わってください」
「ありがとうございます」
殻付きの牡蠣に店オリジナルの醬油をかけて、それからレモンを搾った。
厚岸、北斗の順番で咀嚼する。旨い。厚岸も北斗も旨い。悲しかな私は料理評論家ではない。厚岸と北斗の牡蠣の旨さには甲乙がつけられない。いや、どちらがいいなんて言ってはいけない。厚岸も北斗も両方とも素晴らしい牡蠣だった。
「長谷川さん、道産のウニいかがですか?」
「いただきます」
早川のお勧めに外れなし。
「私にもウニ頂戴」
咲子もまた早川のお勧めにのった。
「軍艦巻きの海苔は松前の岩海苔です。ウニも岩海苔も両方美味しいですよ」
「長谷川さん、知ってた? 松前の岩海苔は有名なんですよ」
咲子が私にそう教えてくれた。
「松前の岩海苔?」
松前の海苔、私は初めて聞いた。
「貴重な海苔です。道民でもなかなか口にすることはできませんよ」
早川はそう言って、咲子の前にウニの軍過巻を置いた。
「いただきます」
咲子はそう言うとそれを口の中に入れた。
ずるいな。美味しそうに咀嚼する咲子を見て、私は御馳走を横取りされた気分になった。
口の中にホッケの握りを入れる。ネタと酢飯が絶妙のバランスで溶けていった。
「はぁ」私は心の中でため息をついた。これが高級寿司店の技なのか……。
「ニシンもいいものが揚がったと連絡があっあんですが、今は旬じゃないんですよ」
「ちなみにニシンの旬は?」
気になったので私は早川に訊ねた。
「春です」
「春?」
「長谷川さん、春にまたいらっしゃってください。極上のニシンを送らせますから」
「ありがとうございます」
例は言ったが、多分私がニシンの握りを食べることはないだろう。
私は、早川が勧める地の魚を食べた。咲子は松前のマグロを大トロ、中トロ、そして赤身の順番で早川に握らせた。まぁ、松前のマグロなんだからそれもまた地の魚と言っていいのかもしれないが。
「牡蠣が二種類」
心の声を抑えることができない。
「厚岸と北斗の牡蠣です。先ずはそのままお召し上がりになりますか?」
早川は私が漏らした言葉を聞き逃さない。
「いいんですか?」
「構いませんよ。厚岸と北斗の牡蠣を存分に味わってください」
「ありがとうございます」
殻付きの牡蠣に店オリジナルの醬油をかけて、それからレモンを搾った。
厚岸、北斗の順番で咀嚼する。旨い。厚岸も北斗も旨い。悲しかな私は料理評論家ではない。厚岸と北斗の牡蠣の旨さには甲乙がつけられない。いや、どちらがいいなんて言ってはいけない。厚岸も北斗も両方とも素晴らしい牡蠣だった。
「長谷川さん、道産のウニいかがですか?」
「いただきます」
早川のお勧めに外れなし。
「私にもウニ頂戴」
咲子もまた早川のお勧めにのった。
「軍艦巻きの海苔は松前の岩海苔です。ウニも岩海苔も両方美味しいですよ」
「長谷川さん、知ってた? 松前の岩海苔は有名なんですよ」
咲子が私にそう教えてくれた。
「松前の岩海苔?」
松前の海苔、私は初めて聞いた。
「貴重な海苔です。道民でもなかなか口にすることはできませんよ」
早川はそう言って、咲子の前にウニの軍過巻を置いた。
「いただきます」
咲子はそう言うとそれを口の中に入れた。
ずるいな。美味しそうに咀嚼する咲子を見て、私は御馳走を横取りされた気分になった。

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