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濡れた砂漠の村
第1章 その村への旅
少し遅めのランチを終えると、谷で取れた糖分の高いフルーツを煮詰めてつくるゼリーのようなものと、コーヒーがでてくる。私はたっぷりととれたてのミルクを入れてまぜる。皆ちびちびとコーヒーを飲みながら、たわいのないおしゃべりをする。そして、それぞれまた好き好きの活動へと戻ることになる。男たちは、あの新しい男の車を見に行くという。彼女は興味ないわと笑い、お土産の掘建小屋を見に行こう、と私を誘う。私は彼の車が見たかった、彼のことが気になってついていきたかったけれど、お土産も悪くない、と、彼女の誘いにのることにした。

「あの子のこと、好きなんじゃない?」

歩き始めて少しすると、イタズラっぽく微笑んで彼女は私を問い詰める。私は彼は魅力的だけどまだよく知らないし、との意見を述べる。

「昔から変わり者で、ものすごい奥手だけど、すっごいいい奴だからいいと思う!」

そう言って盛り上がる彼女、今夜私がどうしたらいいか、事細かにシナリオを練って、分析し始める。私はそれが何だかおかしくて、クスクスと笑う。それぞれお土産を少しだけ買って、見晴らしのいいところで休憩する。お互いの戦利品を見せ合う。

「後でパーティの準備、一緒にしよう!私がメイクと洋服、手伝うから!」

彼女はおせっかい、でも憎めないのだ。彼女はそして、この地域の食べ物、飲み物について説明し始める。体をほてらせるもの、それを冷やすもの、回復を促すもの、心を穏やかにするもの、エネルギーを荒々しく発揮させるもの、、日記帳にメモを取る。

私達はそして後ろに反りたつ丘の民家の間を長い散歩に出る。背の高い穀物畑を通り過ぎると、その中に隠れた若い2人が、夢中になって腰をぶつけ合い、貪りあっているのが見えた。周りの穀物の穂が擦れあってサラサラと心地よい音を奏でる。
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