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濡れた砂漠の村
第1章 その村への旅
一瞬気を失ったわたしはふと我にかえる。彼は安心したように微笑んで私を覗き込んでいる。一瞬、恥ずかしい気持ちを覚えるものの、いや、これで良いのだという確信が沸いてくる。

「ありがとう」

と素直に例を言う。

「君は、順応性に長けているんだね。」

例を言い、私は少し乱れた身なりを直にお手洗いへと向かう。パンティは手元に換えがないが、濡れたものを履き続けるのは気持ちが悪いので、脱いでしまう。髪の毛を結い直し、顔を洗ってさっぱりとする。先に戻り、スナックなどを食べながら、たわいのないおしゃべりが始まる。

「気づいてないかもしれないけど、みんな愛に勤しんでいるんだよ。よく見てみなよ。外の世界ではこれがあたかも汚いことかのように、人目から隠されているけれど、僕たちこの民族は、美しいものは美しいと、愛しいものは愛しいと、素直に生きているのさ。」

私は促され、車内を少し歩いてみる。確かにみな、お互いを愛しあいながら過ごしている。全く汚らわしい印象はない。席へ帰り、私は頷く。そしてまた、たわいのない話でじっとりと経つ時間をつぶすのだ。
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