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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 243 『もうおしまいよ…』

 わたしは凜とした態度と、顔、目をして、彼を見つめていく…

「なに?」

「え、あ……」
 すると杉山くんは、そんなわたしの目
に憶したような感じで弱々しく見つめてきたのだ。

 なんとなく言いたいことは分かるのだが…
 ここが、これからのわたしと杉山くんの関係には大切になってくる。

「もうおしまいよ…」
 わたしはキツ過ぎず、また弱々し過ぎず、つまりは凜とした声音でハッキリと、そう告げたのだ。

 だが、できるならば杉山くんを傷つけたくはない…
 だから、敢えて、言葉少なめに、そう告げたのである。

 おしまいよ…

 本当は…

 もう二度と杉山くんとはこんな事はしない…
 そう告げたかったのだが。

 今夜、このタイミングでそれを告げるのは杉山くんに対して、あまりにも残酷であると思われた…
 だから声音は凜とした有無をも云わさぬ口調でそう言い切り、そして敢えて曖昧な意味にも受け取れる様な言葉にしたのである。

 これからの仕事にも影響をしかねないから、完全には突き放さなかったのだ、いや、突き放す事ははできないし、避けたい…
 そして、あくまでもわたしと杉山くんの二人の間のパワーバランスを計り、キープをしたいという考えもあったのだ。

 そして後は、聡明な杉山くんが自分で考えて、わたしとの距離を、距離感を図ってくればいい…
 そして、それが理想なのである。

『もうおしまいよ…』 

 果たして杉山くんはこの言葉の意味をどう捉え、考えるのだろうか…

 ただ単純に…
『今夜はおしまいよ…』
 なのか…
 
『もうこんな事は終わりよ…』
 なのか…
 どう捉え、考えるのかは、それは杉山くん次第なのである。
 
 
「はい…ありがとうございます…
 本当に夢のようだった……っす」
 だが、杉山くんは、そんなわたしの言葉に対して、満面に笑みを浮かべて、そう言ってきたのだ。

「まさか…
 まさか、ゆかり部長と…こんな……」
 そして、更に夢見がちな目をしながら、そう続けてきたのである。

 えっ…

 な、なに、その答えは?…





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