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シャイニーストッキング
第13章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一
 34 20年振りの再会

 本田きよみ先輩…

 私にとっては、まず、最初にそんな思い出が浮かんでくる青春の甘い匂いの象徴といえる存在なのである。

「あっ、そうだコッペ、本田きよみ先輩はもちろん覚えているよなぁ」
 と、まさやんは突然、言ってきた。

「本田きよみ先輩…あ、うん、覚えてるよ」
 彼女は、忘れたくても忘れられない存在であるのだ。

「今、いるんだよ…」
「えっ、ここに…」

 急に胸が、心がザワザワと昂ぶり、騒めいてきていた、そして甘酸っぱい青春の匂いも漂ってきた…
 思わず後ろのフロアの席を振り返る。

「いや、お座敷に来てるんだ」
「あ、お座敷か…」
「きよみ先輩はよく職場の同僚達や、個人的にも来てくれるんだ…」

「そうなのか…」
 あの私が中学一年から彼女が高校に進学した中学二年の秋までの約一年半、そして私が高校に進学した高校一年生から高校二年生の春先までの間、別れてまた付き合っての計約四年間を彼女とは付き合ったのだが、その後は私自身に色々あって、風の噂をチラホラと数回程度訊いただけであったのだ。

 最後に会った、いや、見かけたのはいつだろうか…

「ほら、俺はバスケット部の後輩だから、俺の店だって分かってからの最近は、本当に良く来てくれる様になったんだよ」
「あれ、でも確か結婚して埼玉県辺りに…」
「いや、それが、三年前に離婚して実家に戻ってきたんだって言っていた」

「そうか…」

 離婚したんだ…

 今となっては全く関係無いのではあるが、離婚した…と聞いて何となく心に引っかってくる。

「でも…うん、そうだ、約20年近く顔も見ていないなぁ」
「そうなのか、でも懐かしいだろう、だってあの中学時代のコッペときよみ先輩の二人は学校中の、いや先生だって知らない人がいない位の公認カップルだったからなぁ」
 
 確かに、当時はそうであったといえた…

「呼んで来ようか?」
 と、まさやんは訊いてきた。
 一瞬心が揺れたのだが、今更な想いもあったし、なんとなく照れ臭くもあった。

「いや、いいよ、今更だし…」
 と、そう言ったのだ。

 だが…

「すいませーん、宮本くん…お会計を…」
 と、突然後ろから声が聞こえてきた。  
 そして私はその声に吊られて後ろを振り向いたのだ。

「あっ…」
「え……」

 約20年振りの再会であった…



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