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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
ーー秋広に会いたかったんだ。寂しかった。
桃華のアパートに向かう道中、秋広は桃華からそんな言葉を告げられたらどうしよう、なんて考えてしまっていた。
しおらしく自分を待つ桃華の姿が何度か頭をよぎったが。
「早かったな」
玄関に現れた桃華は、普段通りだった。
腕を組み、文句か何かを言いたげに秋広を見ている。ほんの一瞬妄想してしまった寂しがる桃華は当たり前だがそこにはいない。
「ーーお、お待たせしました」
「もう昼食った?」
「あ……はい。すみません」
今日は来るつもりがなかったため、家で食べてしまった。
「桃華さんのお昼作りますね」
「別にいい。あたしも食った」
「え」
はて。ではなぜ自分はここへ呼ばれたのか。
桃華は無言で一度秋広に背を向け、部屋の奥に消える。キッチンスペースから小さなビニール袋を持ってきた。
差し出され、中を見て驚く。小さな器に黒い何かが入っていた。プルプルしているので、ゼリーだろうか。その上にはラップがしてあった。
この器には見覚えがあった。初めて桃華に買い出しを頼まれた時に、自分が100円均一で買ってきたものだからだ。金魚の絵柄が描かれた夏を連想させるコップだったが、絵柄の可愛さに惹かれ、季節外れとは思いつつも手にとってしまった。
「コーヒーゼリー。好き?」
「はい! ……もしかしてこれ、桃華さんの手作りですか!?」
つい、語気が強くなる。桃華が手作りのデザートを用意して待っているなんて、予想もしていなかった。

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