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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
その週の土曜日、秋広は桃華のアパートに行かなかった。
別に毎週行くと約束しているわけじゃない。なんとなく習慣になってしまい、冷蔵庫の中の食材を整理するという名目で、訪ねてはいたが。
(もしかしたら、桃華さんが相澤に僕のことを話したのって、毎週来るのが迷惑だからどうにかして、の相談とかだったり……)
ありえる気がする。だから相澤は、やんわりと自分にそのことを伝えたのか。
直球に言うと、自分が傷つくと思ったから。
秋広は急に怖くなった。
(しばらく桃華さんちに行くのは……)
やめよう、と結論付けた時。
唐突に携帯電話が鳴った。
開いてみて名前に驚く。桃華だった。
事務所の番号以外にかけてきたことはなく、緊急な何かが起きたのかと思い、秋広は飛びかかるようにして携帯を掴んだ。
「は、はい! 何かあり……」
「ーー今日来ないの?」
「……へ?」
秋広の口から、間の抜けた声が漏れる。
もう午後二時をまわっていたが、桃華の声は寝起きのようで掠れていた。
「今日は、来ないの?」
再度、繰り返される問い。
「あ、今日はちょっと……」
「なんでだよっ! ふざけんな、今すぐ来いっ!」
「は、はいっ……!」
突然の罵声。
秋広はわけもわからぬまま、急いで桃華のアパートに向かうのだった。

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