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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
通話ができたりモニターが映るタイプのインターフォンではなかった。音が鳴っているかどうかも、よくわからない。
秋広は駐車場を見渡した。道路側の端に、彼女のものと思われる軽自動車が停まっている。
帰ってきているはずなのに。
「あの、ごめんください。神谷です!」
秋広はノックをし、ドアを直接何度か叩いた。
「桃華さん! 大丈夫ですか……?」
まさか本当に、倒れてるんじゃ……。
「桃華さん!」
秋広がノブをまわすと、がちゃりーーと開いた。
(ドア……開いてる?)
秋広はドアを開き、玄関へと入った。狭い玄関には安全靴。桃華のものだろう。
すぐ目の前が部屋で、下は畳で、六畳ほどしかない。
小さな衣装ケースとちゃぶ台、薄い布団しかなく、テレビもなかった。そして暗かった。
桃華の姿はない。
「桃華さん……?」
誘拐でもされてしまったんじゃ……。
物騒なことばかりが次々によぎった。
ーーその時だった。
部屋の横の小さなスペースから、突然何かが現れた。
秋広の視線がそこへ向く。驚いたことに、その人影は桃華だった。さらに驚いたことにーー桃華は服を何も身につけてはいなかった。白いバスタオルを頭からかぶっている。

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