この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night 2
第50章 episode of 0
「本当に……ここ……?」
秋広は車をアパートの敷地の端に停め、アパート名を何度も確認した。
二階まである木造建てで、上と下それぞれ三部屋ずつある小さなアパートだった。看板は傾いていて、何十年も陽(ひ)に当たっていたからか、ボロボロだった。文字も白っぽくて、読みづらい。最初は綺麗に色が塗ってあったのだろうが、もとの色がなんなのかも判別できなかった。
駐車場の白線もほとんど消え、アスファルトもガタガタだった。
そして肝心の建物も、全体的に白っぽい。看板と同じで太陽光に当たり続けていたせいで、色が抜けてしまったようだ。
見るからにオンボロだった。
最初に履歴書でアパート名を見た時に少し古い印象を受けたが、想像以上だった。
しかも桃華が住んでいる部屋は、一階の角なのだ。
(防犯とかも……大丈夫なのかな)
どう見ても防犯がしっかりしているようには見えないアパートで、一階。
(やっぱり、一人暮らしだよね)
ワンルームのようである。
秋広は、もう一度携帯から桃華の自宅に電話をかけた。やはり、出ない。
(本当に倒れてるんじゃ……)
体調が悪くて動けない可能性だってある。
秋広は預かった彼女の財布だけを持ち、角部屋である101号室のドアの前に行きチャイムを押した。
(鳴った?)

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


