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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
秋広が現場に行くと、まず牧原から桃華が早退したことの報告を受けた。
やはり朝から体調が悪かったようだ。
「明日も大事を取って休めって言ったんだが……」
「……普通に来そうっすよね」
隣で相澤も苦笑する。どうやら車に保管しておいてくれたらしく、シンプルな黒い長財布を差し出された。
よく見ると、角が削れ、ところどころ色も剥げていてずいぶん使いふるされていた。一言で言うなら、ボロボロだ。
「あ、持ち主が誰か確認したくてちょっと免許証見たが、なんも取ってねーかんな」
「……わかってるよ」
「じゃ、よろしく」
「頼んだ」
相澤が手を振る横で、牧原も頭を下げた。
「はい! ちゃんと届けます!」
「……香椎さんと連絡は取れたんだろ?」
「いや、取れてないけど、住所はわかるので」
「え……」
相澤と牧原は顔を見合わせた。
「突然家に行って大丈……いや、秋広ならまあ大丈夫か。……っておい」
秋広は相澤の話などたいして耳に入れてはいなかった。
桃華に何かあったら、という不安ばかりが大きくなっている。
挨拶もそうそうに、秋広は車に乗りナビに桃華が住むアパートの住所を入れて、出発した。

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