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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
秋広は早速彼女の番号を探し、電話をかけた。
呼び出し音が鳴り続けるが、いっこうに出なかった。留守電にもならない。
秋広は時計に目をやる。午後一時半をまわったところだった。昼前に帰したのなら、とっくに家に着いているはずの時間だった。
ーー何か、あったのだろうか。
体調が悪い中車を運転し、途中で……。家に帰れはしたが、悪化して……。つい悪いことが頭をよぎる。
そもそも、桃華は一人暮らしなのではないだろうか? 地元がここではないのだし、家族揃って関東に移住したとも考えづらい。住んでる場所もアパートのようだし。
もし、部屋で倒れていたら。つい数日前にニュースでたまたま目にした、『高齢者の孤独死、増加』という見出しが脳裏に浮かんだ。
秋広はいてもたってもいられない気分になり、相澤の携帯にまた電話をかけた。
「はいはーい。どう? 香椎さんと連絡は……」
「僕、今すぐ届けてくるよ!」
「…………あ?」
「彼女のお財布取りに行くね」
「あ、ああ。んじゃ預かっとくな」
言いながら、念のためカレンダーを確認した。面接など、人との約束がある場合は空けられないが、午後はなかった。
そう毎日予定が入るものでもなく、わりと暇なのだ。
秋広は携帯を切って早々、桃華の履歴書を持ち、戸締まりをして事務所をあとにした。

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