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Memory of Night 2
第20章 秘密のお薬

宵が風呂から出ると、入れ替わる形で晃もシャワーを浴びに行った。
戻ればいつものようにベッドでの遊戯を求められるのだと思えば、微かに体の芯が火照るような気がする。
だが宵の予想に反し、戻ってきた晃は宵を求めては来なかった。
「疲れてるだろ? 今日は早めに寝ようか」
「…………普通に?」
「うん。もちろん宵がシたいなら、俺は全然だいじょ……」
「そんなこと言ってねーよっ」
実際疲れてはいた。筋肉痛もまだ微妙に残っていたし、バスと電車で二時間近くかけて帰宅してきたのだから。
「ハーブティ飲む?」
「うん」
宵が頷くと、キッチンに向かっていく晃。
晃は紅茶も好きらしく、何種類かのティーパックが常に常備されている。
ハーブティの香りは宵も好きだった。
すぐに晃は戻ってきて、淹れたての紅茶を出してくれた。一口飲む。
「なんか、今日濃いめなんだな?」
「苦かった?」
「いや、美味いけど」
味や香りもほんの少しいつもと違うような気がしたが、商品が違うだけなのかなと思い深くは考えなかった。
その日は十時過ぎにベッドへと入った。シングルの狭いベッドなので、自然と体は密着する。
「この距離、久しぶりだね」
晃は嬉しそうに宵の髪を撫で、ぎゅっと密着してくる。
「ーーおやすみ」
「……おやすみ」
その日はなぜか毎日の習慣になりつつあるキスも無かった。
晃の温もりに包まれながら、宵は眠りについた。

