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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

それは何時もみたいに木織に施されていた、その週の日曜日の午前中であった――。
夜も昼も関係なく削られゆく部屋の中で、僕がそれに気がついたのは偶然と言うべきなのだろう。
ともかく、カーテンの隙間より外を覗いた、僕は――
「き……!?」
向かいの家の外に、その存在を認めた。外壁に背を預けるようにして、彼女は僕を待っているのだと直感。
何を考えるより早く、
――ガチャ!
僕は急ぎ、家を出ている。
「な、なんで……?」
「……」
訊ねている筈なのに、黙ったままの視線を、僕は避けた。
すると――
「逃げないで」
「え……?」
「今が、嫌なのでしょう?」
「だ、だからって……」
「じゃあ、よす?」
「なに……を?」
しどろもどろに言葉を交わし、再びその顔を仰いだ僕に――
「私――会いに行こうと思うの」
「会うって……一体?」
それには答えずに、木織は言うのだった。
「貴方も――来る?」
「……」

