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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

訳もわからないままに、それでも――僕は木織と一緒に行くべきなのだと、そう思っていた。何処に向かうのか、それは問題ではなくって――。
木織をがっかりさせてはいけない、そんな気持ちの方が――(未だ)――強かった。
半年ぶりにする外出の為、慌てて部屋に戻り、それなりの衣服を身に纏う。着替えの間、二人の家の狭間で、木織は僕のことをじっと待っていてくれた。
「ごめん、じゃあ――」
「うん。行こう、か……」
被ってきた帽子のツバの下で――一瞬だけ視線を合わせると、木織はすぐに身をひるがえした。木織が先を歩き、僕がその後を追った。
外界(そと)の空気は――(未だ)――今は、清々しく感じられている。

