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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

 それからのことだ。

 どういう順序を踏んだかなんて、それ以外まるで定かではなかったけれど――。

 僕の、この哀れで情けない性欲を、木織が摘み取る様になっていったのだ、それから――。

 決まって月に一度の金曜日の、日が土曜に変わった頃――。

 僕は、その都度五千円札を握り締めては、木織の部屋を訪ねている。

 最初は手で――やがて、あろうことか口を使って――まるで風俗、みたいだった。

 木織の情けが、僕の癒しとなる――それは、よく、わからないけれども。

 只、僕の気持ちが逃げそうになることは、やはり度々あって――。

 性欲というものが恐ろしいのに、あの時みたいに拒否反応がでなかったのは――何故?

 だけど――その理由に、すぐ、僕は気づくことになった。



「私ね――貴方のこと、大っ嫌い――だから、安心したら?」



 木織は、言うのだった。

 僕を蔑んだ様に見つめ――言うのだ。

 僕は、その言葉を受け――


「あ……?」


 それは言われ、ショックである筈、なのに――

 それなのに、何処かほっと胸を撫で下ろしている自分が――確実に、いたのだ。

 義姉によって歪められた日常を、まるで更にわからなくなるまで歪めてゆくようにして――。


 僕は、木織のその言葉に――やはり、甘えていたのだろう。


 だけど――それは、当然――本当に望んだものとは、違い過ぎた――。

 そのギャップに耐え兼ね始めた――それが今、十九の僕だ。


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