この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

それからのことだ。
どういう順序を踏んだかなんて、それ以外まるで定かではなかったけれど――。
僕の、この哀れで情けない性欲を、木織が摘み取る様になっていったのだ、それから――。
決まって月に一度の金曜日の、日が土曜に変わった頃――。
僕は、その都度五千円札を握り締めては、木織の部屋を訪ねている。
最初は手で――やがて、あろうことか口を使って――まるで風俗、みたいだった。
木織の情けが、僕の癒しとなる――それは、よく、わからないけれども。
只、僕の気持ちが逃げそうになることは、やはり度々あって――。
性欲というものが恐ろしいのに、あの時みたいに拒否反応がでなかったのは――何故?
だけど――その理由に、すぐ、僕は気づくことになった。
「私ね――貴方のこと、大っ嫌い――だから、安心したら?」
木織は、言うのだった。
僕を蔑んだ様に見つめ――言うのだ。
僕は、その言葉を受け――
「あ……?」
それは言われ、ショックである筈、なのに――
それなのに、何処かほっと胸を撫で下ろしている自分が――確実に、いたのだ。
義姉によって歪められた日常を、まるで更にわからなくなるまで歪めてゆくようにして――。
僕は、木織のその言葉に――やはり、甘えていたのだろう。
だけど――それは、当然――本当に望んだものとは、違い過ぎた――。
そのギャップに耐え兼ね始めた――それが今、十九の僕だ。

