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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

 そうして、僕は――


「……」


 その瞬間(とき)に、何を考えていたのだろうか――?


 彼女の態度が妙であることは、最初からわかっていた。でもそれが、彼女が初めて僕に見せようとしたあるべき姿であったのか、それとも何らかの要因によって精神を逸脱させようとしていた、その兆しであったものか――そんな判断が当時の僕に、可能であった筈もなく。



「遊ぶ……?」



「うん。そう」



 それだから、どうして僕が階段を上がり二階に赴いたのかと訊かれるとするのならば、きっと僕は返答に窮するのだろう。

 ほんの僅か覗き見たスカートの奥――それが僕に来たした感情が、まるで無関係とは言い切れないのかもしれないのだ。


 ともかくは――そうして。


 ……うっ!?


 二階の部屋に入って行った僕は、その中に立ち込めていた異様な匂い――それを、嗅ぐ。


 しかしながら、前置きした仮定が後者であったことも。その際に鼻腔をついた異臭の正体が、当時は未だ『脱法』という曖昧なレッテルで誤魔化された、何かであったことも――


 この時、十三歳だった僕が、知る由もないのだ。

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