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エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

 半端な睡魔に苛まれ、まだ霞のかかったままの思考――それで。


 ガラッ――と、何の気なしに襖を開けて、僕は部屋の外に顔を出した。


 彼女は階段の中程に片膝を抱えるように、座っていて――僕の顔を、見るなり――


 ニィ――と、その口角を釣り上げていた。



「どうか……した、の?」


 恐る恐る訊ねてゆく。僕の前では見せたことのない笑みが、そこはかとなく恐ろしいもののように思えていた。


「フフ、ううん――別に、どうもしない――けど、ね」


「そう……?」


 どうしていいのかもわからずに、只、怪しげな顔を眺めている。

 ピクッとして動いた足元に釣られ視線を送ると、短いスカートの奥がチラリと覗き――大きく動揺しながら、僕は慌てて顔を反らした。


「アハ、どうかしたの?」


「い、いや……なにも」


 まったく同じ質問を返されると、僕は何度も首を横に振ることになっている。同時に激しい居心地の悪さを覚え、早く部屋の中に逃げ込みたいと感じていた。


 それなのに――


「ね――一緒に、あそばない?」


 彼女はとっても意外なことを口にし、僕を引き留めている。

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