この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
エブリデイ
第5章 それは歪であるが故、何物にも代えがたく

半端な睡魔に苛まれ、まだ霞のかかったままの思考――それで。
ガラッ――と、何の気なしに襖を開けて、僕は部屋の外に顔を出した。
彼女は階段の中程に片膝を抱えるように、座っていて――僕の顔を、見るなり――
ニィ――と、その口角を釣り上げていた。
「どうか……した、の?」
恐る恐る訊ねてゆく。僕の前では見せたことのない笑みが、そこはかとなく恐ろしいもののように思えていた。
「フフ、ううん――別に、どうもしない――けど、ね」
「そう……?」
どうしていいのかもわからずに、只、怪しげな顔を眺めている。
ピクッとして動いた足元に釣られ視線を送ると、短いスカートの奥がチラリと覗き――大きく動揺しながら、僕は慌てて顔を反らした。
「アハ、どうかしたの?」
「い、いや……なにも」
まったく同じ質問を返されると、僕は何度も首を横に振ることになっている。同時に激しい居心地の悪さを覚え、早く部屋の中に逃げ込みたいと感じていた。
それなのに――
「ね――一緒に、あそばない?」
彼女はとっても意外なことを口にし、僕を引き留めている。

